作詞のネタ帳

日常や社会の出来事に対して自分の心に引っかかったことを元に作詞していますが、この心の動きを公開し、また作詞のアイデアとして使う目的で始めました。書いてる歌詞の意味がバレルかも(笑)

踊るマハラジャ その6

I'm going off the rails on a crazy train.
(俺は狂った列車のレールから降りるつもりだ by オジー オズボーン)

降りられない…

  デリーからガンジス川への移動は寝台列車。ホテルから駅まで送ってくれるのは、初日にガイドを断った添乗員。
  「デリーカンコウハ デキタノカ?」
  「いやぁ、大変だった。あんたの言う通りだったよ」
  「ダカラ イッタデショ。ムリダッテ」
  半分正解で、半分不正解な気持ちだけど、まぁ駅まで送ってもらうんで。

  駅に着いて、ひとつ心配になる。夕方出発して朝に着く長時間移動なのにメシはどうなるか?添乗員に聞く。
  「シャナイハンバイ アルケド オマエハ ナニカ カットイタホウガ イイカモ」
  店に案内してもらいサンドイッチみたいな食べ物をゲットして、ホームに向かう。
  ホームにはまだ列車は来てなくて、それまで添乗員とたわいもない会話で時間を潰す。その間に何度も物乞いの人がやってくる。添乗員は自然な感じで小銭を渡す。
  列車がホームにやって来た。いよいよ初列車だとテンションが上がる。でも自分の目の前に停車した瞬間不安になる。
  「あれっ、窓ガラスがない…」
  目の前に止まっている電車の窓は、ガラスはなく窓枠に二本棒が横に付いてる、漢字の「目」のような吹きっさらしの列車だ。
  「えっ、これなの?」
  自分はツアーを頼むときに、エアコン付きの列車だと確認している。なんでガラスがないの?これがインドのエアコン?はぁ?
  「アレ、オカシイナ。チョトミテクル」
  そして添乗員が戻ってくる。
  「ワルイ、ムコウダ」
  ビビらせるんじゃない…この車両は一般席のようだ。

  ホームを歩いてようやく窓ガラス付きの車両にたどり着く。予約制の等級の高い車両は入り口に紙の乗客リストが貼ってある。添乗員はリストから僕の名前を見つけ、ここだと中まで案内してくれてる。そして席を確認するとお別れをした。いいヤツだったので、ガイド断ったのはちょっと悪かったなぁと思いつつ、チップは弾んでおいた。

  僕の席は日本で事前に確認していた通り、3人がけシートが向かい合ってる6人席だ。当然僕の他はインド人。車両全体で見ても日本人は僕だけ。とりあえず同じ席の人にあいさつする。出発してしばらくすると車内販売が始まる。インドの皆さんは一斉に買い始める。興味津々で彼らが何を買ったのかをガン見する。アルミホイルのフタがついた弁当らしきものを二つ持っている。彼らはそのフタを取る。カレーとゴハン。弁当だけど汁物w

  みんな食事を済ませて、僕以外は一家団欒といった雰囲気。しかしそんな団欒の時間をぶち壊すノイズが僕らを襲う。通路を挟んだ反対側の席の二階で寝てる小太りのおっさんのイビキ。これが尋常でない。クレイジーなほどイビキがデカく、しかも呼吸したりしなかったりのやばいやつで、しまいには寝ゲロまでしてて、見てるこっちが痛々しくなってくる。自分はこんなこともあろうかと耳栓を持ってきてたが、それもほとんど役に立たず。隣のインド人とも
  「何じゃありゃ」
って笑いあった。まさにインド人もびっくりってやつ。早く降りたいと願った…

  こんな一夜を過ごし、列車内で朝を迎える。駅を乗り過ごすのが怖いのか早く目覚めた。海外の列車は日本のとは違い、走ったり止まったりノロノロだが、インドも例外なくノロノロ走ってる。車窓から見える風景は、もう日本ではお目にかかれない昔の農村の風景。線路沿いに並ぶ壊れかけの家。庭に畑があり、牛、鶏、犬が放し飼いされてる。住人は井戸から水を汲んで顔を洗ってる。ノロノロ運転なので、そんな人たちと目が合う。のどかだ。時間がゆっくり流れてる。今の日本で生活している自分が、このような生活はできないだろう。便利で清潔な生活、別に便利な生活が人生を幸せにしてくれるわけではない。でもこういう生活を目にすると、ものに溢れているよりも、ものがない方が希望があるような感じもする。子供の頃は欲しいものだらけだったけどなんか希望があった。でも欲しかったものを手に入れると、もうその幸せは逃げていく。今となっちゃ欲しいものすらあまりない状況。幸せとは相対的なもの。

  いよいよガンジス川のある地ヴァラナシの駅に着く。ここで降りるのかどうか不安に思ってると、次の地の添乗員が列車に入ってきて降りろと言う。なかなか良くできてる。こうして今回の旅のメイン、ヴァラナシの地に降り立った。

 

踊るマハラジャ その5

  TRUTH IS GOD

 

  「ツギドコイク?
  「ガンジーの博物館見たい」
  「ワカッタヨ!」

 

  ガンジーインド独立の父、非暴力・不服従運動は世界のほとんどの人が知ってるだろう。世界大戦という食うか食われるかの時代に真逆の非暴力・不服従の考え方で国民をまとめ、独立を勝ち取った偉人に深い感銘を覚える人も多いだろう。自分も映画のガンジーを見て、見終わった後ガンジーモードになった一人w

  僕を乗せたリクシャーは博物館に到着する。ガンジー国立博物館だ。


「チュウシャジョウ二 リクシャーオイテクルカラ サキニナカデミテテ。タダデハイレルヨ」

 

  博物館の入り口には壁に「TRUTH IS GOD」と書かれている。なんか神妙な気持ちになる。
  とは言えまぁ博物館なので他所と同じように、ガンジーの生い立ちや生前に使用されていた日常品などが飾られてる。おっちゃんも中に入ってきて、一生懸命ガイドをしてくれる。中をひと通り見終わった後におっちゃんはここのメインイベントを紹介するかのごとく僕を外に誘導する。


  「ゴールドノガンジーダ」


  まっ金金ガンジーさんの銅像。さすがインド。金が好きw
  おっちゃんに像の前で記念撮影を再度連写してもらいw ここを離れる。

 

  次はその近くにある、ラージガートといわれるガンジーが荼毘に付された場所だ。側には川がありそこに遺灰が流されたとのこと。大きな記念公園といった感じ。ガンジーを偲ぶところだけあって、インド人が多く来ている。神聖な場所は土足禁止なので、ここも靴を脱いで、有料で靴を預ける…
  広場の真ん中にシンプルなお墓のようなモニュメントがあり、みんなが祈りを捧げている。自分もお祈りをし、記念撮影でもしようとしていると、近くのインド人にやたら声をかけられる。


  「イッショニ シャシンニ ハイッテヨ」


  なんか人気者である。自分を中心にインド人が収まり記念撮影が始まる。こんな経験日本ではないだけに、ちょっといい気になる。後から調べてみるとインド人あるあるのようで、記念撮影で外人と一緒に撮りたがるらしい。なんだぁw

 

  ここを見終えると、リクシャーのおっさんは自転車で回れる範囲で観光名所はもうないと言う。なのでメシを食って駅まで送ってもらうことにした。その道中も街についてガイドしてくれる。話によると街は宗教によって地区が別れていて、ヒンドゥー教イスラム教、シーク教それぞれ通る度に教えてくれる。やっぱりその宗教の地区に入るごとに雰囲気が違う。例えばシーク教のエリアに近づくと、日本人がインド人を想像するとき真っ先に頭に浮かぶあのターバン姿のヒゲモジャの人ばかり。そうターバン姿の人たちというのはシーク教徒で、インド人がみんなこの格好をしているのではない。

  宗教ごとに住むエリアが違うというのは日本人感覚からするとなかなか想像がつかない。長い歴史の中でこうなることがベストだったんだろうか。角を一つ曲がれば異文化というのはなかなか経験できないことだ。

 

  賑やかな通りを走る。車、リクシャー、人で大渋滞。砂埃もひどい。こんなんだから車とおっさんのリクシャーがぶつかる。おっさん激昂し何か言ってる。車の運転手とにらみ合いになる。でもそれで終わり。ぶつかってもめんどくさくない。潔いw

 

  こうしておっさんの馴染みのカレー屋で昼食を食べ、駅まで送ってもらう。お礼にチップをはずんだらおっさんは満面の笑みだった。こっちまで嬉しくなっちゃう。いやよくやってくれました。僕の片言の英語でも割と会話は続き、僕が飲み物を欲すれば細い路地の中、道幅ギリギリでUターンして飲み物屋まで戻ってくれる。感謝しかないなぁ。どうせ無愛想であまりサービスしてくれないだろうと想定してただけに余計。

 

  インドでは宗教や言葉や文化が違う人々がひとつの国に大勢住んでるということは頭では理解していた。しかし実際にこの目で見てみると、思ってた以上に人間濃度が濃いし、宗教色が強いし、テンションは高くないんだけどエネルギッシュだし、遠慮がちな典型的日本人としては躊躇しっぱなしだった。文化や信条も違うインドの人たちをガンジーさんはよくまとめたなぁと。ホントすごいです。インド人が今でも尊敬してる人。

 

  その後その足でニューデリーに行ったんだけど、都会だけにやたら悪そうな人に声をかけられる。仕方なく入った観光案内みたいなところでは、軟禁されそうになるし散々。いいことも悪いことも含めて旅はこんなもんか。

 

  翌日はいよいよガンジス川、向こうでの呼称ガンガーに向かう。そしてこの旅で一番心配している寝台電車での移動。これもやっぱり大変でして…

踊るマハラジャ その4

  ドナドナドナ ドーナ リクシャー揺れる

  僕の雇ったリクシャーのおっさん(ただ声を掛けただけだけど)、乗る前の交渉でガイドもするとのことだったので、自分が見たいところを案内してもらうことにした。こうやってマンツーマンでガイドを使うのは初めての経験だ。
  そしてこれまた初めて乗るリクシャー。三輪自転車で後ろ側に乗客用の屋根付きの座席があり、そこに乗ってオールドデリーの街中に入っていく。三輪自転車なんてまだ自分が幼かったころ、おばぁちゃんの三輪自転車の後ろの荷物カゴに乗っかってたとき以来だ。
  進み始めてすぐおっさんは頼んでもいないのに、ガンジーの像を見るかと聞いてくる。そんなところガイドブックには載ってないが、まぁとりあえずインドと言えばガンジーなんで、オーケーだと返事をする。
  リクシャーは公園のような場所の敷地に入っていく。
  「ツイタヨ、アレガンジー
  確かに背の高い台座の上に、ガンジーが立っている。高知の桂浜の坂本龍馬の像みたいだ。しかしあたりには誰もいない…
  「ピクチャートルカ?」
  正直どっちでもいいなと思いつつ、自分のアイフォンを渡す。
  「使い方わかるの?」
  「ノープロブレムダ」
  いざ撮ってもらう。


  カシャカシャカシャカシャ!!!


  連写しやがったw おっさん何が起こったんだという顔をしてる。そりゃあの連写音が鳴ればねぇ。大丈夫な事を告げて、お互い笑いあった。しかしこの場所、観光名所ではないようで、今書いてる時点でもグーグル地図で場所が見つけられない…

  リクシャーは僕の最初の目的地ジャーマー・マスジドというインド最大のモスクに向けて進む。かと言ってそこに思い入れはない。単純にガイドブックに載ってたから、まぁ俗に言う観光名所だ。おっさんは近道だからなのか、細い路地道を縫うように進んで行く。その路地は大通りと違い生活臭に溢れている。人々は普通に食事の支度をし、買い物をし、宗教上の儀式をしている。上を見上げれば蜘蛛の巣のように張り巡らされている電線。猿も頻繁に見かける。乳搾り用のヤギもいる。それらのすべてが生活の中で共存している。
  永遠に続くのかと思われた細い路地を抜けると、モスクが見えてくる。
  「アレガモスクダケド、ナカニハイルノカ?」
  「もちろんだよ」
  「ヤメタホウガイイヨ
  「えっ、なんで?」
  「ガイドツケラレテ、スゴイオカネトラレルヨ。ココデミルダケデイイヨ」
  いや、せっかく来たんだし。
  「大丈夫だよ、ガイドなんて断ればいいんだから」

  モスクに着く。おっさんはここで待ってるからと僕に告げる。モスクの入り口に意気揚々と進んで入場料を払う。ここから流れ作業に巻き込まれる。言われるがままに靴を脱がされ、それを預け、長い布を腰に巻かれスカートのような格好にされる。宗教上の理由だから仕方ない。そしてこれら全てにお金が取られる。そしてその流れのままガイドがつけられる。断る隙もなく即ガイドがスタートした。そのガイドも流れ作業で進行し、正味10分ほどで終了。代金の請求をされる。おいしい商売である(ガイドの正確な値段忘れたけど、ネットで調べてみると1000円ぐらい)。
  モスク自体は歴史のある建造物だし、信者の方のお祈りの様子を見たり、自分自身がお祈りをする体験できたことは有意義だった。ただ宗教施設だからなのか物乞いも多く、残念に思ったのは自分の幼い娘、2〜3才の子を利用してお金を乞わせてるのには心が痛んだ。だってその娘、僕の服を何度も何度も引っ張ってくるんだもん。貧富の差、これもこの国の実情である。


  出口を出るとおっさんは待っててくれた。
  「ドウダッタ?ヨカッタカ?」
  「いや、あんたの言う通りだったよ」
  「ソウダロー」
  おっさんは笑ってた。ちょっと嫌な思いのするモスク見学だった。でも逆におっさんに対する僕の信頼度はものすごくあがった。

踊るマハラジャ その3

  インド人の顔、ほぼ真顔。濃いー顔で真顔

 

  インド2日目の朝、優雅に朝食を取る予定が、誰も利用客のいない食堂でひとり食事するという恐怖を味わった後、デリーの街を探索するために外に出た。

  宿の近くに駅があることは前日の夜の散策で把握していたので、電車での移動を決めていた。目指すはオールドデリー。人々のディープな生活ぶりが見たいから。しかし海外では毎度毎度だが電車に乗るのも大変である。まず乗り方がわからない。ガイド本によると1日乗車券があるらしく、こいつを買うことにした。なんとこのカードは最新のタッチ式。ちょっと拍子抜け(何を求めてるんやらw)。そして改札ではまさかの空港ばりの荷物チェック。X線のやつだ。マジっすか。

  改札を済ませ、ホームで電車を待つ。一度ニューデリーの駅で乗り換えをして、オールドデリーへの行程。電車がやって来る。満員電車だ…でもご安心を。よくテレビで見る、電車から乗客がはみ出したり屋根の上に乗っかってるやつではないw  この路線は改札でも触れたが、最近開通したもので最新の設備の鉄道。満員電車といえどイメージは日本のそれと同じ。ただあんなに多くのインド人に囲まれるというのが唯一の違いで、心細い。

  ニューデリーの駅で電車を降りる。近代的な駅だ。構内の上の方にあるベランダに目をやると、軍人みたいな人がライフルを肩に下げて見回っている。オールドデリーに向かう電車は地下鉄で、もうすでにホームに停車していた。急いで空いてる車両に乗り込む。さっきの電車とは大違い。空いてるし、なんか電車の中はカラフルだし、いい匂いするし、女性ばかりだし。

 「あれっ…もしかして女性専用車両

 そりゃ女性の民族衣装のカラフルさで目がチカチカするはずだ。急いで隣の車両に移る。

  さてどうにかオールドデリーの駅で降りて、地上に出る。相変わらず見渡す限りの人だらけ。街の風景は現代的な都会のそれではなく、自分の貧相なイメージでしかないけどバザールという感じ。まさに僕の思っていたインド。この時はまだヘビ使いとかいないかなぁなんて余裕をかましている。地図を片手に何か目標物を探す。しかしどれだけ周りを歩いても、自分が今どこにいて、どこに向かってるかがわからない。まぁ簡単に言えば迷子w  しかし自分もいい大人だし海外旅行経験も少なからずあり、街の探索で困ったことはほぼない。しかしである。とにかくこの時は方向感覚がつかめず、今自分が北に向かっているのか、南なのかが全くわからない(同じようなことは岐阜県でもあった。単純に海のない内陸の地が苦手なのかな…)。

  30分ぐらいグルグルとあたりを歩き回るが、ランドマークらしい建物も見つからず、全くラチがあかない。後から思えばだけど、オールドデリーにはそんなに高い建物はないし、街中建物だらけの超密集地域なので見渡しがよくない。また思ってたよりも大きな街なので自分の中の距離感覚も誤っていた。
  体中からは冷や汗が噴き出してくる。やばい自己解決できない。何とかしなければ。ふと駅を降りた時からずっと目に付いていた自転車タクシー、現地名リクシャーの存在が頭をよぎる。駅前には日本のタクシーとは比にならないぐらい待ち行列を作っている。しかし初インド、とにかくインド人の顔が怖いのである。みんな真顔で表情がない。特に駅前で虎視眈々と客を狙っている輩の眼光鋭い目には萎える。どうしても声をかけるのを躊躇してしまう。

 「ダメだ、もうちょっと自力で頑張ってみよう」

 駅を離れランドマーク的なものを再度探す。しかし見当たらず、とうとう精根尽きた。もうダメだと心が折れそうな時、前方にインド人にしては柔和な顔つきで痩せ型の50代くらいのリクシャー乗りのおじさんが目に入った。

 「この人しかいない!なんかトラブってもこの体型ならなんなとかなる」

 と確信し声をかける。結果的には大正解な人選であり、旅の中でも思い出深い経験となった訳で。続きはまた。

踊るマハラジャ その2

  カオス、日本語で混沌。

  インドのデリーには夕方に着いた。初日はそのままホテルに向かうスケジュール。空港は人も少なく無事添乗員にも会え、ターミナルの外に連れられてそのままホテルに向かう車を待つ。添乗員と他愛もない話をする。

  「車はスズキが多いねぇ」
  ひとまず知ってる知識をしゃべってみる。

  「ソウデスネ、アトタタネ」
  うん、知ってる。タタ自動車ね。

  「やっぱりインドは暑いね」
  「デモインドデハ、モットアツイトコロアルヨ。50度コエタトコロアルヨ」
  スゲ〜よインド。

  そうこうしているうちに迎えの車が到着した。空港を出て今日泊まるホテルがある街へと向かう。その道中でいきなりインドの洗礼を受ける。そう道路事情がカオスなのである。まぁ分かりやすく一言で言えば、マリオカート状態。道路には白線が引いてあるものの、誰もそんな線を気にしていない。左右どちらか前方に車一台入るスペースがあれば、線など無視して前へ前へと突っ込んでいく。日本で片側2車線の道路であれば、4車線で車が走っているような感じ。さすがに唖然とした。運ちゃんは隙あらばと前へ前へと先を急ぐ。あの特に急いでないんですけど…

  車の中で添乗員の営業トークが始まった。
  「アシタハドウシマスカ?」
  「電車乗って一人で観光行きます」
  「インド、ソレムリ
  「いや、大丈夫だよ」
  色々な国旅してるので、いつもガイドはつけないポリシー。
  「イヤ、ムリダヨォー
  しつこいなぁと思いつつ、丁重に断った。
  「ホントニー」
  だが彼の言っていることを翌日のデリーの散策で理解することとなる。インドを舐めてたなと、後から後悔するわけで。

  車は街中に入っていく。道路がカオスなら、街中もカオスである。人人人。道路を人が埋め尽くしている。その中を車はゆっくりと進みようやくホテルに着いた。

  ホテルでチェックインを済ませる。スマホを充電したかったので、ホテルの従業員にコンセントの型式を聞く。日本で事前にあらゆるタイプのコンセントに対応できる変換プラグを買っていたので、インドはどの型のプラグになるかを確認したのだ。プラグの型と挿し方も教えてもらう。さて充電を試みる。うーん怖い。インドの電圧は220〜240Vという知識がある分、いざプラグを挿し込むとなると躊躇する。見るからに見すぼらしいコンセントと高電圧。感電するんじゃないか?アイフォン壊れるんじゃないか?覚悟を決めて恐る恐るプラグを突っ込む。

 「パチン!!」

と 火花が出る。ビビった…どうもそういうもんらしい。

  ホテルは歓楽街の中にあり、着いた時間も19時ぐらいだったので、せっかくなんで外に出ることにした。そのついでに夕飯も取るつもりだ。しかしホテルへの道中でも見ていたとはいえ、いざ外に出てみると改めて人の多さと熱気に圧倒される。まるで夏祭りのような賑わい。これが日常。観光客なんて誰もいない。見る人全てインド人である。こういうのが今異国に来てるんだなぁという僕の気持ちを満たしてくれる。後から調べてみてわかったんだけど、このエリアは一般的なインド人が服を買いに来るエリアで、観光客が来るようなところではないとのこと。なので観光客目当ての客引きは一切なかった。若干かかってこいと警戒はしてたけど笑

  街をぶらぶらした割には、夕飯が食べれそうな店がなかったので、結局ホテルの隣のカレー屋さんで食べた。せっかくインドに来たのだからと、こだわってターリーと呼ばれる小皿に分けられた数種類のカレーを楽しめるプレートセットとタンドリーチキンを食べた。これから旅の間毎日カレーを食べ続けることになるというのに。

  次回は一人でのデリー探索。

踊るマハラジャ その1

  前回外国の話と言うより結局は中華料理屋の話になってしまったが、せっかく外国の話をしたのでついでというか外せないというか、僕の外国旅行の経験の中で一番ハードルが高かった国、インドについて書こうと思う。


  女子はヨガの影響だったり、民族衣装や食や美容に興味があって行く人はいるけど、男子はなかなかインドに行きたいという人はいない。行きたいと思う人は何か心に秘めた理由を持っているはずだ。あそこに行けば自分の中の何かが変わるんじゃないかという幻想。じゃなければカレーマニアだろう。


  じゃ自分はなんでって話だけど、インド幻想はもちろんw でもそれよりも小さな頃見たインドの女性の神秘さにやられてしまったからだ。外人という存在を認識したのもその時である。小さい頃の記憶なので曖昧だが何か世界をテーマにした催し物だったはず。インド象もいたような笑 その女性はサリーを身にまとい、おでこに何か赤い点がついてて、そして目が神秘的でその目に吸い込まれそうになった。それらが強烈に僕の記憶に残っていて、いつかはインドに行きたいという想いがずっと頭の中にあった。なんか昔から目に吸い込まれそうな女性が好きでして…


  インド旅行に行くにあたり、首都であるデリー、かの有名なタージマハル、そしてインド幻想を抱いてる者にとっては外せないガンジス川への礼拝。これら全てを包含しているツアーを探す。まぁ普通にあるw ホント自分の考えることはつくづく一般的だなぁと。便利な時代だ。ツアーの日程も予算も問題なかったので、旅行会社に直接行って、ツアー内容の詳細を聞きに行くことにした。それは旅行出発の1週間前。相変わらずギリギリでしか動けない…ギリギリになってからの集中力には自信ある。


  旅行会社では若いお兄ちゃんが対応してくれた。ツアー行程の話を説明してもらう。ツアーと言っても一人旅なので、日本でよくあるバスツアーみたいにずっと添乗員が付き添ってくれるものではなく、基本行く先々毎に添乗員が待っていてホテルまで送迎してくれるリレースタイルだ。そして現地では自由行動となりガイドが欲しければ別料金でお願いすることとなる。


  「デリー到着は夜なので、1日目はそのままホテルで宿泊、2日目はデリー終日自由行動。3日目は昼ごろまで自由行動。夕方ヴァラナシ行きの列車に乗りそのまま車中泊…」


  うっ列車。あの噂に聞く。しかも車中泊。さすがはインド、デカイから当然と言えば当然か。ここで僕の質問モードのスイッチが入る。


  「インドの列車ってどんな感じなんですか?」


  「今回のツアーですと列車の等級は3Aなのでエアコン完備で、1シート3名の向かい合せの席になります。寝るときは背もたれの方に三段ベッドがついてるのでそれを引き出して寝るという形になります。」

 

  夏なのでエアコンは絶対要る。


  「上の等級とかにもできるんですか?」


  「はい、できます。一つ上の等級の2Aだと2人がけシートで二段ベッドですね」


  「普通みなさん、どの等級選ばれてます?」


  「大体この3Aですよ。僕も乗ったことありますけど、全然大丈夫ですよ。」


  大丈夫。大丈夫と言われたからには、じゃそれでいいですと答えてしまうもんである。ただ大丈夫という言葉は割と個人差あるよなぁと思いつつ。話聞いてると、このお兄さんは旅行好きで色々と秘境ぽい国行ってるようなので余計。


  「インドの列車ってよく時間に遅れるって言うじゃないですか?現地で添乗員と会えなかったりとかないです?」


  「大丈夫です。現地の添乗員は列車の遅延状況を把握してますから。」


  大丈夫。不安だなぁ…


  「列車の治安は?物盗られたりしない?」


  「よっぽど大丈夫と思いますけど、ご心配ならチェーンロック持ってったほうがいいですよ。」


  うーん、大丈夫かなぁ?

 

  「インドの入国にビザがいるんですよ。」


  「えっ、日にちないけど間に合うの?」


  「はい大丈夫です、ギリギリなんとかなります。」


  大丈夫、さすがである。


  こんな感じで行くことに憧れや不安がある割には、思いつきでギリギリになって決めてしまった旅行。次回現地でのお話を書きます。

チャイナタウン

  僕の今の職場の周りは異国情緒漂うエリアで、あらゆる国の料理屋が点在している。イタリア、フランス、ドイツ、アメリカなどまぁどこにでもあるものから、韓国、モンゴル、ベトナム、タイ、マレーシア、インドネシア、インド、キューバ、ブラジル、ペルー、ナゴヤ国(これは違うか笑)、そして中国。このエリアの中華料理屋の数は突出して多い。これらの中華料理屋の中には、中国人をメインターゲットにしている店がある。そこでは普通の中華料理屋では食べられないディープな料理(豚の頭そのままの料理や臭豆腐など)も食べる事ができ、言葉もあまり通じないので、ちょっとした現地体験ができる笑

  このディープな店の一つにランチを食べようとして初めて入ったのだが、どうもこの店ランチの概念がないみたいで、ランチメニューがない。この時は「ランチないの?」と店員に聞いたら、ご飯を無料で付けてくれた。しかし次行った時、前と違う店員だったので念のため同じように聞いたら、有料だと言われた。そんな気がしたんだよね笑  こんな感じも異国っぽい。

  僕は過去多くはないが旅行で色々な国に行ってる。その国に滞在している間は、日頃食べられない食べ物をなるべく食すようにしてるし、現地のスーパーや市場は必ず足を運んでる。その国の食文化を理解したかったら市場が一番よい。その中でもどうしてもインパクトを受けてしまうのはアジアの市場。足を踏み入れた瞬間のムンムンとした熱気と匂い。そして肉売り場の見渡す限りの、肉、肉、肉。豚の顔の肉と目が合う。肉の塊が宙にぶら下がってる。結構グロテスクなんである種 、遊園地のお化け屋敷より面白い笑  料理屋は料理屋で日本みたいに店員の愛想がよくないので、料理についてよく聞くこともできず、とりあえず頼むんだが何が出てくるか不安。でもまぁ不味かったことはない(イギリス除く笑)。同じ人間なんだから、美味い不味いと思うものは同じである。チップによる店員の態度の変化もあからさまでおもろい。現地の料理と、日本人というか都会人がちょっと忘れかけてる濃厚な人間臭さを体験できることは、海外旅行の醍醐味だと思う。日本の良さと悪さにも気付き考えさせられる。


  最近、ランチに中華を食べた。この店は中国人経営の店だが日本人ターゲットの普通の店。食べ終わり会計を済ませると、餃子無料券をくれた。太っ腹な店だなと思い次また行こうとその券を財布にしまった。数日後忘れかけてたその券が財布から見えたので、あぁそろそろ行かなきゃと券を引っ張り出した。ふと券の裏に目を向けると小さく手書きで何か書いてある。

  「13時以降から使えます」  

  うーん、12時から昼食の時間の僕は危うくお金を取られるところでした…