作詞のネタ帳

日常や社会の出来事に対して自分の心に引っかかったことを元に作詞していますが、この心の動きを公開し、また作詞のアイデアとして使う目的で始めました。書いてる歌詞の意味がバレルかも(笑)

NINJIN娘

人はニンジンを目の前にぶら下げられると、どんなに疲れていようが気力がなかろうが、頑張ってそのニンジンを得ようと力が湧いてくる。得られればいいんだけど…


先日長野県の蓼科にある蓼科山へ登山をしに行った。蓼科は別荘地にもなってるような風光明媚な場所。そんなところにある蓼科山はまぁるく柔らかい女性的な山。とは言え2500メーターある山なので、それなりに登るのはキツイ。登山ルートはいくつもあるが、その中で七合目登山口を選択した。僕とツレとの登山の目標はあくまで頂上を目指すものであり、その行程の中身は問わない。だから利用できるものは利用する。行けるとこまでは車で行き、ロープウェイがあれば使うし、近道があればそちらに進む。どんな手を使ってでも簡単に頂上に辿り着くことが僕らのミッションw なので今回は一番距離の短い七合目登山口となった。


七合目からの登山なので、今回目指すラスボスの中腹からのスタートとなるので、平坦な道のない登りっぱなしの登山となる。最初は流石に緩やかな登り道だが、すぐに傾斜がきつくなる。冬の間にトレーニングをサボった体は、筋力もなく、オーバーウェートでいつにも増して呼吸も荒くなる。これは自業自得なので文句は言えない。体重やゴミなど要らないものは増やすのは簡単、減らすのは難しい。逆にお金など必要なものは減らすのは簡単、増やすのは難しいのは興味深いなんて思いつつ進む。


山小屋に辿り着く。この山小屋からが頂上へのラストスパート。大きな石がゴロゴロしてる急な登りを30分かけてゴールとなる。ここの山小屋は店員が気軽に声をかけてくれたりと雰囲気がいい。こういう雰囲気のいい山小屋というのは、色々な山に行っているが中々少ない。頂上などロケーションのいい立地にある山小屋と比べて、あまり立地の良くない小屋の方が、営業努力されてる分サービスもいい。ここの山小屋はまさにそんな感じ。来る人来る人に優しく声をかけてるので、声をかけられた人はそこで売ってるバッヂやバンダナをどんどん買っていく。山小屋でこんなに物が売れてる光景見たことがない。できる人である。


さて頂上へのラストスパート。今までの行程よりも更に傾斜がきつく、ゴロゴロしてる大きな石の上を登ってくので一歩一歩がきつい。呼吸も高度が高くなってる分更に荒くなり、心臓もバクバク。上を見上げてもまだ頂上は先だ。気分が折れそうになったその時、先にいる人のある姿が目に入る。


「えっ!タンクトップ???」


山でタンクトップ。しかも女性のようだ。こんな人、僕の山人生でも見たことがない。ツレにも教える。2人ともテンションが上がる。


「スゲーっ。早く追いつこう」


どこに残ってたんだろう、この力w  今までの1.5倍のスピードで、山の傾斜を駆け上がっていく。そう目の前にニンジンがセットされたのだ。このモードになると、集中力が増し、体の疲労感なんて感じなくなる。まるで獲物を追いかけるように。なんて動物的w
少しずつ差を詰めるが、追われる獲物も割と登るのが速く、一進一退の攻防を続ける。また少しと近づいたとき、「あれっ?」と思う。


「男じゃねぇ?」


まさか登山でタンクトップ着た女の人なんているわけないと我に帰る。そう思った瞬間、僕のふくらはぎが悲鳴をあげる。さっきまで獲物に集中してたのが、その目標を失い今までの無理が一気に足に来たのだ。


「うっ、ヤバイ」


ツレにも聞いてみると、そうだよなぁと。足の回復を図るために、暫し休憩を取り登りを再開する。しかしこの足取りはどこか重い。スピード感で表すと普段の0.7倍ぐらいだ。遅い。


トボトボ歩いてると、ツレが声を発する。


「やっぱり女じゃねぇ?」


僕も再度確かめる。そうだ、あの丸みを帯びたなで肩は間違いなく女性だ。


「行くぞ!」


心の中で声を上げた。
また1.5倍のスピードに戻り、獲物に向かって突進する。あと少しあと少しと心の中で念じながら、最後の力を振り絞る。そして獲物に到達する。


「獲ったどー!


しかし追いついたところで、現実に戻る。だってまじまじと見るわけにいかないし、その獲物には男性のツレもいるので声をかけるわけにもいかない。今までのあのテンションは何のためにとも自問した。本能としか言いようがない。この徒労感は重い…


こうやってなんとか頂上に辿り着いた。体を酷使したので疲れは半端ない。今にもふくらはぎが爆発しそうだ。ペースを崩すことは登山では危険である。こんなことで負傷して動けなくなったらどうするw 少しだけ反省をしたそんな1日だった。