作詞のネタ帳

日常や社会の出来事に対して自分の心に引っかかったことを元に作詞していますが、この心の動きを公開し、また作詞のアイデアとして使う目的で始めました。書いてる歌詞の意味がバレルかも(笑)

踊るマハラジャ その4

  ドナドナドナ ドーナ リクシャー揺れる

  僕の雇ったリクシャーのおっさん(ただ声を掛けただけだけど)、乗る前の交渉でガイドもするとのことだったので、自分が見たいところを案内してもらうことにした。こうやってマンツーマンでガイドを使うのは初めての経験だ。
  そしてこれまた初めて乗るリクシャー。三輪自転車で後ろ側に乗客用の屋根付きの座席があり、そこに乗ってオールドデリーの街中に入っていく。三輪自転車なんてまだ自分が幼かったころ、おばぁちゃんの三輪自転車の後ろの荷物カゴに乗っかってたとき以来だ。
  進み始めてすぐおっさんは頼んでもいないのに、ガンジーの像を見るかと聞いてくる。そんなところガイドブックには載ってないが、まぁとりあえずインドと言えばガンジーなんで、オーケーだと返事をする。
  リクシャーは公園のような場所の敷地に入っていく。
  「ツイタヨ、アレガンジー
  確かに背の高い台座の上に、ガンジーが立っている。高知の桂浜の坂本龍馬の像みたいだ。しかしあたりには誰もいない…
  「ピクチャートルカ?」
  正直どっちでもいいなと思いつつ、自分のアイフォンを渡す。
  「使い方わかるの?」
  「ノープロブレムダ」
  いざ撮ってもらう。


  カシャカシャカシャカシャ!!!


  連写しやがったw おっさん何が起こったんだという顔をしてる。そりゃあの連写音が鳴ればねぇ。大丈夫な事を告げて、お互い笑いあった。しかしこの場所、観光名所ではないようで、今書いてる時点でもグーグル地図で場所が見つけられない…

  リクシャーは僕の最初の目的地ジャーマー・マスジドというインド最大のモスクに向けて進む。かと言ってそこに思い入れはない。単純にガイドブックに載ってたから、まぁ俗に言う観光名所だ。おっさんは近道だからなのか、細い路地道を縫うように進んで行く。その路地は大通りと違い生活臭に溢れている。人々は普通に食事の支度をし、買い物をし、宗教上の儀式をしている。上を見上げれば蜘蛛の巣のように張り巡らされている電線。猿も頻繁に見かける。乳搾り用のヤギもいる。それらのすべてが生活の中で共存している。
  永遠に続くのかと思われた細い路地を抜けると、モスクが見えてくる。
  「アレガモスクダケド、ナカニハイルノカ?」
  「もちろんだよ」
  「ヤメタホウガイイヨ
  「えっ、なんで?」
  「ガイドツケラレテ、スゴイオカネトラレルヨ。ココデミルダケデイイヨ」
  いや、せっかく来たんだし。
  「大丈夫だよ、ガイドなんて断ればいいんだから」

  モスクに着く。おっさんはここで待ってるからと僕に告げる。モスクの入り口に意気揚々と進んで入場料を払う。ここから流れ作業に巻き込まれる。言われるがままに靴を脱がされ、それを預け、長い布を腰に巻かれスカートのような格好にされる。宗教上の理由だから仕方ない。そしてこれら全てにお金が取られる。そしてその流れのままガイドがつけられる。断る隙もなく即ガイドがスタートした。そのガイドも流れ作業で進行し、正味10分ほどで終了。代金の請求をされる。おいしい商売である(ガイドの正確な値段忘れたけど、ネットで調べてみると1000円ぐらい)。
  モスク自体は歴史のある建造物だし、信者の方のお祈りの様子を見たり、自分自身がお祈りをする体験できたことは有意義だった。ただ宗教施設だからなのか物乞いも多く、残念に思ったのは自分の幼い娘、2〜3才の子を利用してお金を乞わせてるのには心が痛んだ。だってその娘、僕の服を何度も何度も引っ張ってくるんだもん。貧富の差、これもこの国の実情である。


  出口を出るとおっさんは待っててくれた。
  「ドウダッタ?ヨカッタカ?」
  「いや、あんたの言う通りだったよ」
  「ソウダロー」
  おっさんは笑ってた。ちょっと嫌な思いのするモスク見学だった。でも逆におっさんに対する僕の信頼度はものすごくあがった。