作詞のネタ帳

日常や社会の出来事に対して自分の心に引っかかったことを元に作詞していますが、この心の動きを公開し、また作詞のアイデアとして使う目的で始めました。書いてる歌詞の意味がバレルかも(笑)

踊るマハラジャ その3

  インド人の顔、ほぼ真顔。濃いー顔で真顔

 

  インド2日目の朝、優雅に朝食を取る予定が、誰も利用客のいない食堂でひとり食事するという恐怖を味わった後、デリーの街を探索するために外に出た。

  宿の近くに駅があることは前日の夜の散策で把握していたので、電車での移動を決めていた。目指すはオールドデリー。人々のディープな生活ぶりが見たいから。しかし海外では毎度毎度だが電車に乗るのも大変である。まず乗り方がわからない。ガイド本によると1日乗車券があるらしく、こいつを買うことにした。なんとこのカードは最新のタッチ式。ちょっと拍子抜け(何を求めてるんやらw)。そして改札ではまさかの空港ばりの荷物チェック。X線のやつだ。マジっすか。

  改札を済ませ、ホームで電車を待つ。一度ニューデリーの駅で乗り換えをして、オールドデリーへの行程。電車がやって来る。満員電車だ…でもご安心を。よくテレビで見る、電車から乗客がはみ出したり屋根の上に乗っかってるやつではないw  この路線は改札でも触れたが、最近開通したもので最新の設備の鉄道。満員電車といえどイメージは日本のそれと同じ。ただあんなに多くのインド人に囲まれるというのが唯一の違いで、心細い。

  ニューデリーの駅で電車を降りる。近代的な駅だ。構内の上の方にあるベランダに目をやると、軍人みたいな人がライフルを肩に下げて見回っている。オールドデリーに向かう電車は地下鉄で、もうすでにホームに停車していた。急いで空いてる車両に乗り込む。さっきの電車とは大違い。空いてるし、なんか電車の中はカラフルだし、いい匂いするし、女性ばかりだし。

 「あれっ…もしかして女性専用車両

 そりゃ女性の民族衣装のカラフルさで目がチカチカするはずだ。急いで隣の車両に移る。

  さてどうにかオールドデリーの駅で降りて、地上に出る。相変わらず見渡す限りの人だらけ。街の風景は現代的な都会のそれではなく、自分の貧相なイメージでしかないけどバザールという感じ。まさに僕の思っていたインド。この時はまだヘビ使いとかいないかなぁなんて余裕をかましている。地図を片手に何か目標物を探す。しかしどれだけ周りを歩いても、自分が今どこにいて、どこに向かってるかがわからない。まぁ簡単に言えば迷子w  しかし自分もいい大人だし海外旅行経験も少なからずあり、街の探索で困ったことはほぼない。しかしである。とにかくこの時は方向感覚がつかめず、今自分が北に向かっているのか、南なのかが全くわからない(同じようなことは岐阜県でもあった。単純に海のない内陸の地が苦手なのかな…)。

  30分ぐらいグルグルとあたりを歩き回るが、ランドマークらしい建物も見つからず、全くラチがあかない。後から思えばだけど、オールドデリーにはそんなに高い建物はないし、街中建物だらけの超密集地域なので見渡しがよくない。また思ってたよりも大きな街なので自分の中の距離感覚も誤っていた。
  体中からは冷や汗が噴き出してくる。やばい自己解決できない。何とかしなければ。ふと駅を降りた時からずっと目に付いていた自転車タクシー、現地名リクシャーの存在が頭をよぎる。駅前には日本のタクシーとは比にならないぐらい待ち行列を作っている。しかし初インド、とにかくインド人の顔が怖いのである。みんな真顔で表情がない。特に駅前で虎視眈々と客を狙っている輩の眼光鋭い目には萎える。どうしても声をかけるのを躊躇してしまう。

 「ダメだ、もうちょっと自力で頑張ってみよう」

 駅を離れランドマーク的なものを再度探す。しかし見当たらず、とうとう精根尽きた。もうダメだと心が折れそうな時、前方にインド人にしては柔和な顔つきで痩せ型の50代くらいのリクシャー乗りのおじさんが目に入った。

 「この人しかいない!なんかトラブってもこの体型ならなんなとかなる」

 と確信し声をかける。結果的には大正解な人選であり、旅の中でも思い出深い経験となった訳で。続きはまた。